腰 臀部 下肢 足の痛みと痺れ

アキレス腱周囲炎

スポーツなどの繰り返しの負荷によってアキレス腱や腱周囲膜に炎症が起こり、アキレス腱痛として発症します。安静時の痛みはないことが多く、運動時の痛みが主な症状で、アキレス腱の踵骨(かかとの骨)付着部より2~5cm以内に痛みが生じ、周囲に熱感、腫脹が見られることもあります。治療は保存療法が基本で局所の安静を図り、アキレス腱への負荷を減らすために、ヒールの高い靴を履くことで疼痛が緩和されます。下腿三頭筋の筋力アップを図ることやストレッチなどが再発予防に有効です。

いわゆるぎっくり腰

いわゆる「ぎっくり腰」は急に起こった強い腰の痛みを指す一般的に用いられている名称で、病名や診断名ではありません。何か物を持ち上げようとしたとき、腰をねじるなどの動作をしたときなどに起こることが多いですが、朝起きた直後や何もしないで起こることもあります。痛みの原因はさまざまで、腰に許容以上の力がかかってけがしたような状態(捻挫、椎間板損傷)、腰を支える筋肉や柔らかい組織の損傷などが多いと考えられます。腰椎部に原因があるとき つまり治療適応がある場合は下肢に痛みやしびれがあったり、力が入らないなどの症状があったりするときです。 椎間板ヘルニアや中年以上では腰部脊柱管狭窄症などの可能性もあります。さらに、がんが転移して弱くなった病的骨折や、ばい菌による背骨や軟骨(椎間板)の化膿など重大な原因が潜んでいることも時にあります。

オスグッド病(膝)

12~13歳のジャンプ動作の多いスポーツをする男子に多い疾患です。膝のお皿(膝蓋骨)から膝蓋腱がスネの骨につくところ脛骨結節に痛みが出ます。 レントゲン検査で脛骨粗面の膨隆や分節化を認めます。14~15歳の骨端軟骨板が閉鎖するまでの間 骨端軟骨は力学的に弱いため、この部分に負担がかかり、変形や痛みが出ます。基本的にはオーバーユースによる障害なので、スポーツを中止するか運動量を軽減します。骨端軟骨が消失して骨化する15歳頃には痛みは消失します。消炎鎮痛療法やオスグッドベルトという装具を用いて膝蓋腱を圧迫して脛骨結節にかかる負担を 軽減させてこの時期をしのぎます。上手にこの時期の治療ができなかったら 遺残性のオスグッド病となり 成人後手術が必要になることもあります

ジャンパー膝

膝蓋腱や大腿四頭筋腱の付着部の炎症です。膝のオーバーユースが原因になります。スポーツ選手に多いことから、この名前が付けられています。使いすぎ(overuse)による障害の治療は安静が基本です 中途半端なペースダウンや休息は慢性化してパフォーマンスを徐々に下げていき選手生命を短くします。消炎鎮痛療法と安静期間をとって完全に除痛を得てから、上手な復帰を目指すことが大切です

偽痛風性膝関節炎

誘因なく急に膝関節が腫れて激痛を生じます。関節液を抜液して 検査するとピロリン酸カルシウムの結晶が関節液の中にあり急性関節炎を生じる病気です。痛風の発作様と同様な 関節炎なため、偽痛風と呼ばれます。ときに、手関節や足関節などにも生じます。関節液が黄白色に混濁している場合 化膿性関節炎との鑑別をする必要があります。関節液の結晶の有無や培養検査での細菌の有無や発熱などの症状や血液検査などで鑑別します。治療は関節液を抜液して、ステロイドの関節注入が著効します。

腰椎椎間板ヘルニア

脊椎の椎間板を覆う丈夫な膜が破れると痛みが生じます。椎間板と覆う膜とはあたかも 椎間板は瑞々しい帆立貝の貝柱の刺身で膜はゼリーでコーティングしたような形態です 年齢をとるとこの瑞々しい貝柱とゼリーの水分が失われて 硬く薄くなります このゼリーのコーティングが破れると痛みが生じ、貝柱の一部が外へ飛び出すヘルニアが起こると、痛みはさらに強まります。痛みはヘルニアが脊髄経根を圧迫する為に生じ、神経が損傷することもあります。椎間板ヘルニアの80%以上は腰に発生します。最も多いのは30~50歳の人です。この年代は椎間板を覆う膜が弱くなっている為、強く圧迫されると断裂箇所や膜の脆い箇所から中身が外へ押し出され易く、50歳を過ぎると椎間板の中身は硬くなり始め、ヘルニアが起こり難くなります。椎間板は、事故による外傷や軽い怪我を繰り返していると、突然ヘルニアを起こします。重いものを特に変な姿勢で持ち上げると、生じ易くなります。痛みが生じる部位は、どの椎間板、どの神経根が影響を受けたかによります。ヘルニアに圧迫された神経の経路に沿って痛みが起こります。痛みは動くと増強し、しびれや筋力低下も起こります。神経根の圧迫が大きいと脚が麻痺します。馬尾(脊髄の下の神経の束)が侵されると、膀胱・腸のコントロールが失われ(失禁など)、もしもこの症状が現れた場合は、ただちに治療が必要です。

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腰椎分離 辷り症

多くは若年者で激しいスポーツをする者で、脊椎の関節突起が疲労骨折により、離れたものを脊椎分離症と言います。初発の疼痛でレントゲン検査において脊椎分離症を認めた場合は若年であれば3カ月の腰椎装具固定安静で分離は骨癒合します(完治します)若年期のゴールデンタイムを逃した腰椎分離症は二次的に、脊椎の後方要素が不安定になり、椎体が前方に変位したものを、脊椎すべり症と言います。重度化すれば腰椎椎間板ヘルニアと同じく、神経根を圧迫して、下肢痛が出現します。レントゲン所見では 分離症は脊椎の関節突起の分離がわかります。辷り症は椎体の前方にずれているのを認めます。症状は少し無理をするとすぐ腰痛が起こります。特に後屈で痛みがひどくなります。下肢痛は坐骨神経の走行に一致します。分離症は、無症状の方のほうが多いです。確かに分離症があれば正常の方よりは腰痛が起きやすいとはいえますが、痛みは使いすぎや筋力不足などの日常生活のなかでの問題で起こることが多いです。従って、安静や薬物治療、その他腹筋を鍛えるなどの努力をすることで、症状のない快適な生活をおくることができます。レントゲンで分離症があるから、かならず症状が出るとは限りません。なお腰痛に比べると下肢痛や痺れはかなり治りづらいので、根気良く治療が必要です

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腰椎変性すべり症

この病気では腰部脊柱管狭窄症と同じような症状が出ます。少ない距離なら歩けるのですが、立ったり・歩いたりしているとお尻や太ももの部分が痛くなって、歩けなくなります。けれども、少し前屈みにしゃがんで休むと再び足の症状は楽になって、また歩けます。この操作を知らず知らず繰り返しています 歩ける距離は日によって違いますし、患者さんによっても異なります。腰痛は比較的少なく、全く腰痛がない患者さんもいます。外来で足の調子が悪いのは腰のせいですよというと腰は痛くないのですとおっしゃる方が多いのです 腰椎には馬尾神経を入れた硬膜管が通っている孔があり、これを脊柱管といいます。
「すべり症」では腰椎がずれることによって脊柱管が狭くなり、馬尾神経や神経根が圧迫されて症状が出ます。腰椎の「ずれ」についてはX線(レントゲン)検査で診断します。
腰椎を前後に曲げた状態での撮影で、よりはっきり診断がつきます。MRIによって神経の圧迫の程度がわかります。

腰痛症

80 %の人が生涯で腰痛を経験します。最も多い原因は、レントゲン検査では異常を認めない筋肉や靭帯の挫傷とねんざがあります。予想外の向きに体が動いたときに起こります。ストレッチや入浴や湿布で痛みが軽減したり 逆にマッサージが強すぎたり、じっと動かないでいると、痛みが悪化することがあります。通常この腰痛は数日から数週間かけて徐々に解消します。レントゲン検査で異常を認めにくい椎間板ヘルニアや レントゲン検査で著しい異常を認める変形性脊椎症は治療が必要な腰痛の原因になります。脊髄や神経根の圧迫による痛みは、椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、腰椎分離症、変性辷り症 脊柱管狭窄症などによって起こります。鋭い痛みが伴ったり、腰から足先まで激しい放散痛が起こります。どの神経根が圧迫されているかに応じて、下肢に痛みが広がります。痛みは腰から臀部へ、さらに圧迫されている側の脚へと神経痛をもたらします。腰痛というには違和感のみで痛みがないものもあります 診断は疼痛の形態 皮膚分節に沿った放散痛 X線検査、MRI検査、CT検査で責任病巣を確定できます 責任病巣を確定することは 積極的な治療に有効です 腰椎由来以外の腰痛には 月経前症候群や膀胱の感染症 帯状疱疹、癌の腰椎転移、繊維筋痛症などがあります。

 

腰部脊柱管狭窄症

高齢者の腰痛の原因で最も多いのがこの脊柱管狭窄で、脊髄を入れている脊椎中央部の脊柱管が狭くなる病気です。生まれつき脊柱管が細い人は、中年以降に脊柱管狭窄が現れます。原因は変形性脊椎症やパジェット病で、腰痛だけでなく座骨神経痛 も引き起こします。レントゲン所見は 椎体の変形、骨棘形成、椎間板の変性や各靭帯骨化により、いわゆる変形性脊椎症となり、レントゲン所見では脊柱管(脊髄が入っている)の狭小化の病態が認められます。症状は下肢痛と痺れが主で、腰痛は軽いか無い場合が多いです。下肢痛は坐骨神経の走行に一致します。歩行し続けると下肢痛や痺れが増強し、しゃがみ込みたくなります。間歇跛行と言って数分休むとまた歩けるようになり、特に前屈すると症状は軽くなるので、自転車や押し車を好む人が多いのが特徴です。ひどい方は膝の上に手で支えて歩かれる方がいます。

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坐骨神経痛

坐骨神経は体内で最も太く長い神経です。体の左右でそれぞれ脊椎下部から出て、臀部から膝の裏側へと続いています。坐骨神経が締めつけられたり、炎症が起きたり、損傷すると、痛み(坐骨神経痛)が起こり 足まで広がっていきます。坐骨神経痛は、背中の痛みがある人の約 5%にみられます。臀部や下肢だけに痛みが出ることが多いのです。原因には椎間板ヘルニア、変形性椎間板症、腰椎分離症、辷り症 梨状筋症候群 帯状疱疹などがあります。脊椎管狭窄症などから坐骨神経痛が起こることもあります。坐骨神経痛は、通常は左右どちらか一方に起こります。チクチクとしびれる感覚、しつこい痛み、うずくような痛みを起こします。脚または足のしびれを感じます。この痛みは歩いたり、走ったり、階段を上ったり、脚を伸ばすと悪化します。

種子骨障害

種子骨は腱の中に含まれた小さな骨で、関節運動の支点となり、腱への摩擦や圧迫力を軽減し、腱の運動の向きを変える働きがあります。足には母趾の中足骨々頭の底側に2個の種子骨があります。この種子骨は体重負荷で強い力を受け、種子骨炎を起こすことがあります。骨折、骨軟骨炎や外反母趾変形に伴う種子骨脱臼などの障害が痛みの原因になります。消炎鎮痛療法と種子骨への負荷を軽減するため足底板の処方を行います。

前十字靱帯損傷(膝)

スポーツなどでひねって前十字靱帯損傷が生じます。内側側副靱帯損傷と内側半月板損傷を合併すると予後が悪く、手術を要する可能性が高くなります。歩行時などに急にがくっと膝くずれ(膝折れ現象)をおこします。放置すると変形性膝関節症になることがあるので、若年者のスポーツ選手は、手術が勧められます。断裂部位を直接縫合しても、一度断裂した靭帯は、癒合しても本来の機能をはたせない事が多いので、断裂した靭帯は 切除して新たな靭帯から作り直す靱帯再建術が必要となります。中高年で、あまり スポーツをしない方は、装具や筋力増強訓練など保存的に治療します。

後十字靱帯損傷(膝)

多くの場合、バイク事故や車の事故やスポーツなどで膝を 90° に曲げた状態で、膝下の脛骨に前方から力が加わり生じます。後十字靱帯の脛骨付着部の剥離骨折を伴う場合は靱帯と骨片を元の位置へ引き寄せる手術がおこなわれることがありますが、多くの場合は装具や筋力増強訓練などのリハビリ治療を行います。

側彎症

「側弯症(そくわんしょう)」とは背骨が左右に弯曲した状態で、背骨自体のねじれを伴うことがあります。通常、小児期にみられる脊柱変形を指します。 左右の肩の高さの違い、肩甲骨の突出、腰の高さの非対称、胸郭(きょうかく)の変形、肋骨や腰部の隆起(前かがみをした姿勢で後ろから背中をみた場合)、などの変形を生じます。側弯が進行すると、腰背部痛や心肺機能の低下をきたすことがあります。日本での発生頻度は1~2%程度で、女子に多くみられます。原因不明の側弯を特発性側弯症といい、全側弯症の60~70%を占めます。そのほか、脊柱の先天的な異常による側弯を先天性側弯症、神経や筋の異常による側弯を症候性側弯症といいます。診察では、子供に前かがみの姿勢をとらせて後ろから脊柱を観察します。症候性側弯症の鑑別には、神経学的検査やMRI検査が有効です。短期間で側弯が悪化してくる場合には、注意深く年に数回の診察が必要になります。脊柱全体(立位)のX線(レントゲン)写真から側弯の程度を角度で表しますが、脊椎骨(せきついこつ)や肋骨に異常がないかも同時に調べます。側弯症は、弯曲が進行する前に診断して、治療を開始することが大切です。このことから、学校検診も行われています。治療は側弯の原因や程度、年齢などによって異なります。特発性側弯症で程度が軽い場合には、運動療法などで経過観察しますが、進行する場合には装具治療を行います。脊柱の成長期である思春期に悪化する場合が多いため、進行する場合は手術による矯正が必要になる場合があります。また、先天性や症候性で側弯の悪化が予想される場合にも手術を行うことがあります。

足根管症候群

足根管は内くるぶしの後下方にあり、足首や足趾を底屈する筋肉の腱、後脛骨神経と血管が通る部分です。足根管症候群とは後脛骨神経が何らかの原因(多くの場合は捻挫や骨折の治癒後の増殖した線維性組織)で圧迫されて、足底のしびれや痛みが生じるものをいいます。消炎鎮痛療法と足底板などの処方を行います

足底腱膜炎

足底腱膜はかかとの内側から前足部におよぶ厚い靭帯で、足底のアーチを保つのに重要な役割を担っています。この足底腱膜に何らかの原因で炎症が起きた時、足底部の痛みが生じて、歩行しにくくなったりします。症状は歩行時の足底腱膜がかかとの骨に付着する部分(踵骨足底の中央よりやや内側)の刺すような疼痛とその部分の圧痛です。レントゲン検査で、踵骨に骨棘が見られることがあります足底腱膜炎の発症には様々な誘因があり、ジョギングやランニングなどの過度のスポーツによるoveruseで炎症をきたしたり、中年以降では特に誘因なく発症することもあります。消炎鎮痛療法と足底腱膜への体重負荷を軽減する目的で、足底板などの処方を行います。

棚(たな)障害(膝)

思春期から青年期にまれに発症します。膝の関節包の内側に生まれつき約50%の人に滑膜ヒダが存在します。このヒダが膝蓋大腿関節にはさまって炎症をおこして痛みになります。階段で急に引っかかったり、膝の曲げ伸ばしで音が出て痛みを生じます。膝蓋骨を内側に膝を伸ばしたときにしこりと圧痛を認めることもあります。軽症では消炎鎮痛療法と膝装具で改善します。症状が軽減しないときは関節鏡を用いて切除します

 

中足部に痛みが出る疾患

1)有痛性外脛骨 外脛骨は余分な骨です 後脛骨筋腱内に存在するものは無症状です。症状のあるものは 土踏まずの少し上に内果(内くるぶし)の下の部分の突出と疼痛です。舟状骨の内側に存在する外脛骨が小円形、卵円形の小骨として認められ、舟状骨内側下部に大きく突出し線維軟骨様組織で舟状骨と結合し一体となっている場合に、有痛性外脛骨となり治療の対象となります。治療法は消炎鎮痛療法や後脛骨筋腱の張力を弱める目的で足底板を処方装着します。治療に抵抗する頑強な疼痛がある場合には手術を行うこともあります。

2)中足骨の疲労骨折
第2,3中足骨の骨幹部に発症します。軍隊の長時間の行軍で起きることがあり、行軍骨折とも言われます。スポーツでは高校野球の選手やバレエダンサーに多く見られます。約6週間安静で、骨癒合します。しかしながら痛みを我慢して、運動を続けた結果の疲労骨折なので、十分に安静期間を取らずに、再発を繰り返す場合も多いです。

腸脛靭帯炎(大腿部)

腰椎の原因で起こる場合もあります

ここでは スポーツ障害について説明します膝の屈伸動作の多いスポーツ選手、特にランナーに多く、膝外側の大腿骨外顆と腸脛靭帯 が繰り返しの摩擦により痛みが出ます。 オーバーユースが原因です。O脚の人がなりやすい傾向にあります。消炎鎮痛療法と安静、クッション性のある靴を履くことも有効です、再発しやすい場合は 腰椎の検査をして 治療のアプローチを変えるのも有効です

半月板損傷(膝)

膝関節の内外側にある半月板が膝をひねって断裂することがあります。 10 ~ 30 歳の方ではスポーツで損傷することが多く、 40 歳以降では立ち座りの動作や階段などの軽微な外傷や加齢変化により自然に傷むこともあります。日本人に比較的多いのですが、生まれつき、外側の半月板が円盤状の半月板の場合は、学童期に自然に切れることもあります。膝の屈伸で痛み、関節が完全に伸びなくなったり、曲がらなくなることもあります。歩行で、「ガクッ」と膝が落ちてしまったり、膝が引っかかることもあります。理学的検査(マクマレーテスト等)で診断できますが、確定診断では超音波検査や MRI が有用です。治療は、まずは膝の安静と鎮痛剤の内服です。半月板損傷があると、大腿四頭 筋の廃用性萎縮が生じるので、大腿四頭筋などの筋力トレーニングが必要です。半月板の辺縁部は血行があるため再癒合が可能で関節鏡視下に縫合できます。特に若年者の場合、断裂が大きければ縫合します。断裂が小さい場合は自然治癒することもあります。半月板損傷を放置すると関節面の軟骨が変性して変形性膝関節症になることもあります若年者のスポーツ選手は、手術が勧められます。

膝蓋軟骨軟化症、膝蓋骨不安定症

13~16歳の女子に多く、症状は膝関節の鈍痛です。階段昇降や、長時間坐位で痛みが悪化します。膝蓋軟骨が軟化する疾患です。膝蓋骨脱臼や亜脱臼、膝蓋骨のずれるのが(膝蓋大腿関節の適合不良)が原因です 症状と理学的検査、レントゲン検査で診断できます。安静にして、消炎鎮痛療法や大腿四頭筋、とくに内側広筋を強化する筋トレや膝関節装具を処方します

分裂膝蓋骨

膝蓋骨が先天的に2つ以上に分裂したものです。原因は、成長過程における膝蓋骨の骨形 成の異常によると考えられています。頻度は約5%、9:1で男性に多く、両側例は約4割です。分裂のタイプは、膝蓋骨の外上方に分裂がある型がほとんどです。症状のない場合が多い。無症状の場合は治療の必要はありません。治療は、大腿四頭筋のストレッチング、筋力トレ、運動後のアイシングなどを行い、痛みの強い時は消炎鎮痛療法を行います 難治例には、手術もあります

変形性股関節症

股関節は,大腿骨につながる球状の骨頭と骨盤側の寛骨臼からできています。それぞれ表面に軟骨があります.何らかの原因で関節のバランスが崩れると,軟骨がすり減って痛みや歩きにくさが出ます.寛骨臼内の体重のかかる部分である臼蓋(きゅうがい)が生まれつき浅くて小さい臼蓋形成不全や先天性股関節脱臼の場合もあり、女性が大部分です.その他、大腿骨頭壊死・大腿骨頭辷り症・化膿性股関節炎 リウマチ性股関節炎などの病気に続いて起きることもあります.高齢化社会の現在、これら元の原因となるもののない変形性股関節症もみられます レントゲン検査を用いた病気の進行程度の分類が病期分類で前期・初期・進行期・末期となります まず症状は疼痛とそれに伴う歩行困難のため、消炎鎮痛処置が行われます.保存的治療では疼痛がとれず日常生活に困難が生じている場合,年齢・日常生活とともに,この病期分類に応じて手術療法を行います 比較的ご高齢でも手術は適応となり 可動域改善は自立につながり健康寿命の延長を図ることができます

変形性脊椎症 

変形性脊椎症は、椎骨を覆って保護している軟骨が変性する病気です。原因の1つとして、長年の使用による消耗が考えられています。椎骨の間にある椎間板が変性すると椎骨の間隔が狭まって、脊髄神経根が圧迫されます。椎骨にできる異常な骨の突起(骨棘[こつきょく])によっても脊髄神経根が圧迫されます。これらの病変のすべてが、腰や下肢の筋肉の硬直や痛みの原因となります。

レントゲン上では、骨棘形成や椎間板の変性、狭小化、椎間関節の変形性関節症様変化が見られる。椎間板症、椎間関節症、さらには狭窄症の症状が混在して発現します。中年以降に、加齢的変化によって本症に罹患する可能性は高い。特に40歳以上の男性、肉体労働者に早く発現し易く、腰痛、下肢痛が徐々に始まって慢性に経過します。体を無理に動かすと悪化し、安静によって軽快します。とくに動かし始めに症状が強くなります。脊柱の可動域が制限され、局所の圧迫痛があり、後弯や側弯を呈することが多く、慢性化すると脊椎周囲の筋肉の萎縮が見られます。

スライド1

変形性膝関節症

膝関節の関節表面軟骨の磨耗や半月板の変性・断裂、靭帯損傷からくる関節の不具合で関節が変形して痛みが生じる病気です。有病率は腰痛についで第 2 位です。中高年の女性に多く、 40 歳以降に発症が多く見られます。

初期は痛みがすぐに治まったり、痛みがあっても年のせいだとあきらめたりして病院を訪れる人が少ないのが現状です。適切な治療を受ければ症状の改善や進行を遅らせることで、普通に日常生活を送ることができます。

初期症状を放置しておくと、徐々に進行して症状が悪くなる場合があります。痛みの頻度が多くなり、膝が完全に曲がりきらない、伸びきらない状態が進み、正座 やしゃがむ等の動作が苦痛になってきます。階段もつらく、特に下りがつらくなります。膝に水がたまって膝を曲げると張って重だるくなります。膝の変形が目立ち、膝に力のかかる動きをするとコツコツ、ゴリゴリといった異音を自覚します。活動範囲が狭まります。 高齢者では家の外に出ない生活が続くと認知障害が現れる人もいます。早期に治療を開始して 末期には早急に手術治療を受けて 活動範囲を維持することが生命予後に大きく関係します。