手 手指の痛みとしびれ

バネ指

中年女性に多く発症する、指の屈伸運動で引っ掛かりや痛みが生じるバネ指があります

手の指には 第一関節と第二関節を曲げるために指を曲げる二本の屈筋腱が付いています指の付け根の掌側にはこの二本の腱を束ねている鞘(腱鞘)の入り口で腫れて太くなると指を曲げ伸ばしするときに引っ掛かります。通過障害を起こすことがバネ指の基本的原因です。屈筋腱が肥厚する原因の多くは指の使い過ぎであり、また指の付け根に硬い物を押し付けて作業をしたりすることが原因になることもあります。母指が最も頻度が高く、次いで中指・環指(薬指)の順で、示指(ひとさし指)・小指に発症するのはまれです。

リウマチの滑膜腱鞘炎や腱鞘由来のガングリオンが原因の場合もあります。関節以外の変化や疾患を鑑別するためにレントゲン検査や超音波検査、リウマチの検査を行うことが必要となることもあります。治療は原因を避けながら、軟膏やクリームなどでマッサージと消炎鎮痛療法で軽快します。治療に難渋して手術が必要となる場合もあります。

 

へバーデン結節 ボシャード結節

中年期以降の指痛

はじめに

へバーデン結節とは、手指の第一番目の関節にボシャード結節とは、手指の第二番目の関節に起こる変形性関節症です。指が変形し強張った感じがするので、関節リウマチを心配して来院します。関節リウマチは家族歴や血液生化学検査で診断がつきます へバーデン結節ボシャード結節は中高年の女性に多く男性の約10倍です。大半は両側に発生し、特に示指(人さし指)に好発します。

治療は保存的治療(手術しない方法)が原則です。痛みに対しては消炎鎮痛療法や外用剤を処方し、局所のテーピングなどの安静固定も効果があります。

 

狭窄性腱鞘炎(ドケルバン病)

母指を大きく広げると、手首の所に2本の腱(短母指屈筋腱と長母指外転筋腱)が浮き上がります。この腱と、腱を包む腱鞘との間の摩擦で炎症を起こし、母指を動かすのに痛みが出る、力が入らなくなるなどの状態が狭窄性腱鞘炎です 診断は局所の圧痛・徒手診断テストで確定します。ご自分で診断する場合は手関節を最大掌屈し、自分で母指を最大外転させて疼痛を誘発(岩原・野末徵候=イラスト=)させます。多くの場合は母指の使用制限や、湿布などの外用剤の使用、消炎鎮痛療法により軽快します。

手根管症候群

中年以降の女性に多く発症し、親指から薬指にかけてのシビレや疼痛、親指の脱力感が出ます 正中神経という末梢神経が障害されて手根管症候群が起こります

手根管は、手首を曲げるとできる横皺の下にある横手根靭帯と8個の手根骨で囲まれた短い管状の空間です。ここに指を曲げるための9本の屈筋腱と正中神経が走っています。手根管自体の狭窄や内容物の増加により手根管内圧が増加し、正中神経が障害されます。手指の使いすぎによる屈筋腱腱炎 妊娠やホルモンの影響による浮腫・骨折の後遺症による骨変形・ガングリオンなどの腫瘤形成など多くの要因があります。痛みとシビレは、夜間就寝時や明け方に強い傾向があります。軽症あるいは中等度の場合は、消炎鎮痛療法やビタミンB12の内服などを行うこともあります。進行して保存療法が効かなかったり、筋萎縮が強くなったりした場合には、横手根靭帯を切離したり拡大したりする手術を行うこともあります。