クリニックで治療させていただく頭痛には

国際頭痛分類第3版の大分類(2018年)
I 一次性頭痛

  1. 片頭痛
  2. 緊張型頭痛
  3. 三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)
  4. その他の一次性頭痛疾患があります

顎関節症

顎関節症の代表的な症状は、あごが痛む(顎関節痛・咀嚼筋痛)口が開かない(開口障害)あごを動かすと音がする(顎関節雑音)
の3つです。そのため、硬い食べ物が噛めない、大きな食べ物が食べにくい、また、あごの音が煩わしいなどの症状が現れることがあります。顎関節症は、顎関節やあごを動かしている咀嚼筋の痛み、顎関節雑音、開口障害あるいは顎運動異常を主要症候とする障害をとりまとめた病名です。その中には、①あごを動かす筋肉の痛みを主な症状とするもの(咀嚼筋痛障害)、②顎関節の痛みを主な症状とするもの(顎関節痛障害)、③顎関節の中の関節円板のずれが生じるもの(顎関節円板障害)、および、④顎関節を構成する骨に変化が生じるもの(変形性顎関節症)が含まれています。

顔面神経麻痺

顔面神経は、脳の顔面神経核にあり、側頭骨の中にある顔面神経管という管の中を通り、耳たぶの奥にある茎乳突孔から側頭骨を出て、耳の前にある耳下腺の間を貫いて顔面を動かす表情筋に分布しています。この経路のどこかが障害されると、表情筋が動かなくなり、顔が動かなくなります この状態を、顔面神経麻痺といいます。「顔がまがった状態」、「眼が閉じにくい」、「口角が上がらない」、「水や食事が口から漏れる」などが症状です 顔面神経麻痺の原因は診断可能で、治療方法が決まります。発症の仕方には、大きく分けて3つあり、先天性の顔面神経麻痺を加えると4つになります。急に麻痺が起こった場合が治療適応となります 「朝起きたら顔が動かない」、「気がついたら顔がまがってきた」、という麻痺の生じ方です。「ベル麻痺」、「ハント症候群」という呼ばれるウイルスが顔面神経管の中の顔面神経に感染して生じる、顔面神経麻痺が大半を占めます。脳卒中でも急に顔面神経麻痺になりますが、多くは呂律が回らなくなったり、頭痛、意識障害、手足の麻痺やしびれなどの症状が合併します。脳卒中が原因であれば、救急車で脳神経外科や救急科を受診することをお勧めいたします。

緊張性頭痛

頭痛の多くは 頭痛薬がよく効くけれどもすぐぶり返す 緊張性頭痛です 頭を包んでいる筋肉が持続的に収縮するために起こります。頭痛の程度に強弱はありますが、頭を締めつけられるような痛みで、ダラダラと続き、肩こり・首のこりを伴い、頸部の筋肉には押すと痛みを感じる圧痛点があり、くびが硬くて動かしづらいのが特徴です。原因は精神的ストレスや、痛みや眼精疲労や首こり肩こりによる刺激によって引き起こされる筋肉の収縮が原因になります。また、そこで起きた頭痛がストレスや刺激となり、さらに筋肉を収縮させて頭痛をひどくするという悪循環ができてしまいます。

三叉神経痛

三叉神経痛は神経痛の中で最も典型的な疾患です.診断が正しければこの痛みは必ずコントロール可能です.軽症例は薬物で、重症例では神経ブロックで除痛が得られます 神経痛の原因は不明です 末梢神経と中枢神経との移行部で細い血管が神経を圧迫して 末梢からの刺激によりその部位で神経発火が誘発されて発作的な痛み刺激を生じます 特発性三叉神経痛は三叉神経支配領域に限局した、短い発作痛を特徴とします 特有の誘発点(トリガーポイント)があり、軽い接触または筋肉の動きで痛みを誘発します。洗顔、ひげ剃り、咀嚼、歯磨き、会話は発作を誘発し、時には顔に当たる風でさえ痛みを誘発します痛みの持続時間は数秒ないし数分です。必ず痛みの無い間歇期が存在します。これが三叉神経の末梢枝損傷に伴う、三叉神経のニューロパシックペイン(神経因性疼痛)との相違点です。神経因性疼痛では痛みにとらわれている限り必ず痛みを感じています 眠っている時以外はいつも痛みがあります 特発性三叉神経痛の患者では痛みの激烈さにも関わらず、抑鬱を伴わないのも特徴です。女性にやや多く、平均発症年齢は55歳です。三叉神経を含む脳神経の神経学的な異常は認めません

痛みは三叉神経支配領域に限局します、第一枝であれば前額部、第二枝領域であれば眼下部から尾翼、上口唇、第三枝領域であれば下唇、舌、オトガイ部の痛みを訴えます

非定型顔面痛

三叉神経痛のように左右どちらかの顔に痛みがありますが、三叉神経痛とは異なり、発作痛でなく、持続痛です。肉体的には明らかな原因を認めず、ストレスなどが誘引となっているケースが多い顔の痛みです。

片頭痛

片頭痛は,頭痛の前に起こる「前兆」の有無により,「前兆のある片頭痛」と「前兆のない片頭痛」の二つに分類されます。前兆は,閃輝暗点(キラキラした光,ギザギザの光)が視界にあらわれます。頭痛が始まる前の予兆はなんとなく頭痛が起こりそうな予感や気分の変調,眠気,疲労感,集中力低下,頸部の凝りといった症状を経験する場合があります。一般的な消炎鎮痛剤で除痛できないことも特徴です 片頭痛による頭痛は,発作的に起こり4~72時間持続し,片側性のズキズキと脈打つような拍動性の痛みです。両側性の頭痛もあります。吐き気や嘔吐を伴うことも多く,階段昇降など日常的な動作によって頭痛が増強するため,寝込んでしまい学校や仕事に支障をきたすこともあります。