リウマチ科 膠原病科

日本リウマチ学会専門医 日本整形外科学会リウマチ専門医として治療させていただきます

関節リウマチ

関節内の滑膜が異常増殖して 関節内に慢性の炎症を生じる疾患で、進行すると関節が破壊され機能障害を引き起こします。関節リウマチは、関節だけの病気ではなく全身病です貧血症状がでたり、体がだるくなったり、微熱がでることもあり、症状が悪化します。最初は両方の手や足の指の関節が対称的に腫れて、朝、こわばるようになります。膝関節や股関節など大きな関節にも病変が進み、水が溜まり、動きにくくなり、痛みが伴うようになります。特に30~40歳代の女性に多く発症します。早めの診断・治療が必要です。遺伝的要因や細菌・ウイルスの感染などが考えられていますが、原因はまだよくわかっていません。関節リウマチの病態は、自己免疫疾患と考えられています。自分の身体の一部を自分のものではないとして、これに対する抗体をつくって反応をおこしてしまい、このために関節液をつくる滑膜という組織にリンパ系細胞が集まって反応がおこります。滑膜はさまざまな破壊物質の産生現場となって、しだいに自分の軟骨や骨を破壊してゆきます。
重症の場合には、関節は固まったり、逆にゆるんで大きく変形したりします。そして最終的に関節が破壊されつくすと、変形を残して燃え尽きて 炎症はおさまります。アメリカリウマチ学会の診断基準(1987)で診断します。
診断基準は、5項目の臨床症状と血清リウマトイド因子、X線(レントゲン)写真上の変化の7項目からなり、4項目以上あると関節リウマチと診断します。臨床症状は6週間以上持続していることが必要です。「リウマチの血液検査(血清リウマトイド因子)が陽性」というのは診断基準の一つを満たすのみであり、この結果だけで関節リウマチと診断することはできません。関節リウマチでは早期の治療が大切です。治療は薬物療法が著しい進化を遂げました 当クリニックでは 整形外科専門医 リウマチ専門医 ペインクリニック専門医として 運動器は 関節可動域を保つために除痛治療とともに関節内注射が行いいつまでも自立のための治療を行います 破壊された関節は適切な人工関節にして健康寿命を延長します

膠原病

膠原病とは、皮膚や内臓の結合組織や血管に炎症・変性を起こし、さまざまな臓器に炎症を起こす病気の総称です。病気に共通する症状として発熱、関節炎、全身倦怠感などの全身症状と、皮膚症状、筋症状、各種の内臓症状があります。膠原病は多くの臓器に関わる慢性の炎症性疾患です
膠原病や代表的リウマチ性疾患の関節リウマチは、自分の体の成分に抗体が出来る自己免疫疾患という性格があります。結合組織に病理学的に異常がみられる病気は結合組織病という名称が使われます。つまり、膠原病とは、病理学的には結合組織病、臨床免疫学的には自己免疫疾患、臨床的にはリウマチ性疾患といえます 膠原病には全身に症状が出る病気と皮膚だけに症状が限られる病気があります。膠原病に厳密な定義はありません

シェーグレン症候群

涙腺や唾液腺などの外分泌腺が系統的に侵される病気です。この病気は他の膠原病に合併する事が多く、その場合は二次性シェーグレン症候群と呼ばれます。合併がない場合は原発性シェーグレン症候群と呼ばれます。原因は不明ですが、遺伝的要因、ウイルスなどの環境要因、免疫異常、女性ホルモンの関与が考えられています 主な症状は眼の乾燥と口腔内の乾燥です。涙が出ない、目がゴロゴロする、目が痛い、口が渇く、唾液が出ない、舌や口内内が痛い、虫歯が多くなった、唾液腺が腫れて痛いなどの症状が出現します。他にも鼻腔の乾燥、膣の乾燥(性交不快感、排尿痛)などもあります。皮膚症状は、堤防状に辺縁が隆起した環状紅斑と凍瘡様紅斑が多く見られます。そのほか蕁麻疹、虫刺され様紅斑、脱毛、高γグロブリン血症による小型の紫斑、レイノー現象、薬剤アレルギー、日光過敏なども見られます。全身症状では、発熱、倦怠感、関節痛、疲労感、記憶力低下、頭痛が多い症状で、その他めまい、集中力低下、気分の変調、うつ傾向などもあります。内臓では萎縮性胃炎、間質性肺炎、末梢神経症、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、間質性腎炎などがあります。まれにリンパ腫を発症する患者さんもいます。診断基準に皮膚症状の項目はありませんが、多彩な皮膚症状が出現します。乾燥症状や皮膚症状を軽快させることと、病気の活動性を抑えて進展を防ぐことが治療の目的となります。抗アレルギー薬の内服、乾燥肌には保湿剤の外用、というようにそれぞれの症状に応じた治療を行います。

強皮症

全身性強皮症と限局性強皮症があります。全身性強皮症では皮膚や内臓に症状が出現しますが、限局性強皮症では皮膚だけに症状が出ます。全身性強皮症は、皮膚の広い範囲に硬くなる「びまん皮膚硬化型全身性強皮症」と肘や膝から先だけが硬くなる「限局皮膚硬化型全身性強皮症」に分けられます。男女比は1:12であり、30~50歳代の女性に多く見られます。稀に小児や高齢者に発症することもあります。原因は不明ですが、免疫異常が関係して皮膚や内臓の線維成分が増えて変性します。遺伝病ではありませんが、この病気になりやすい体質は受け継がれると考えられています。全身性強皮症の方の90%は、寒冷刺激で手指が真っ白になるレイノー症状で発症します。その後数年たってから手指が腫脹したり、こわばったりしてきます。びまん皮膚硬化型では、その後短期間で、手背、前腕、上腕、体幹と体の中心部分に皮膚硬化が進み、手指では指が曲がって伸びなくなる屈曲拘縮が起きます。限局皮膚硬化型では肘と膝よりも先に皮膚硬化がとどまります。爪上皮の延長とその部分の点状出血、指先の小さな瘢痕、指先や関節背面の潰瘍、毛細血管拡張、皮膚の石灰沈着、広い範囲の皮膚の色素沈着色などがみられます。冬になると手足の血行障害で指先や関節背面に潰瘍ができます。肺が硬くなる肺線維症が起きると、空咳や呼吸困難が生じ、風邪をこじらせると肺炎を起こしやすいので注意が必要です。腎臓では内部の血管病変が原因で急激に高血圧が起きる強皮症腎クライシスという現象がまれに起きます。食道では食道下部が硬く拡張して胃酸が食道に逆流して、胸焼け、胸のつかえ、逆流感が生じる逆流性食道炎が起きることがあります。腸が硬くなると便秘や下痢を繰り返すことがあります。治療 びまん皮膚硬化型では早期の進行を抑えるため、患者さんの症状に応じて、薬を処方します。限局皮膚硬化型では症状に応じて穏やかな治療法が主体となります。びまん皮膚硬化型では発症5~6年以内に皮膚硬化が進行して内臓病変が出現し、その後皮膚は徐々に柔らかくなってきます。しかし内臓病変は元にはもどりませんので、できるだけ早期に治療を開始して、内臓病変の合併や進行を抑えることが重要です。

血管炎

血管炎は血管を炎症の場とする疾患です。血管は全身に分布して、血管の障害は種々な臓器障害をもたらします。血管炎は、主に障害される血管の大きさにより分類されます。血管炎は皮膚に限局して生じる一部の疾患を除いて、多くは全身症状を伴います。
全身性血管炎では発熱、頭痛、倦怠感、体重減少、多関節痛、筋肉痛といった全身症状に加えて、腎臓、心臓、肺、消化器そして神経などの血管の障害によって生じる臓器症状がみられます。腎不全、高血圧、肺炎、消化管潰瘍、神経炎などの何れか、あるいは複数の症状が出現します。皮膚症状としては、紫斑、血疱、潰瘍、皮下結節などの症状がみられます。皮膚に紫斑を認め、全身症状を伴う場合には血管炎が疑われます。皮膚症状の特徴 血管炎の皮膚病変は多彩です。紫斑、血疱、水疱、潰瘍、皮下結節、網状皮斑のほか蕁麻疹、紅斑などがみられますが、血管炎の最も特徴的な皮疹はやはり紫斑です。紫斑、紅斑に加えて、血液を含んだ水ぶくれである血疱などを伴う場合には血管炎が疑われます

混合性結合組織病(Mixed Connective Tissue Disease: MCTD)

全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、多発性筋炎などの膠原病の症状が混在し、血清中に抗U1-RNP抗体という自己抗体が高い値で検出されます。男女比は1:13~16で女性に多く、年齢は30~40歳代の発症が多いものの、小児から高齢者まで全年齢層に発症します。原因は不明ですが特徴的な抗U1-RNP抗体の産生には遺伝学的素因や環境因子が働いているものと考えられています。肺高血圧症の合併があると、予後が悪いのですが、肺高血圧症のないMCTDの5年生存率は約95%と良好です。レイノー現象、手の腫脹、全身性エリテマトーデス様症状、全身性強皮症様症状、筋炎、肺高血圧症が主な症状です。皮膚症状の特徴は、レイノー症状と手指のソーセージ様の腫脹です。強い皮膚硬化に進展しない点が強皮症と異なります。全身性エリテマトーデスに類似する頬部の紅斑も見られることがあります。肺高血圧症はMCTDの5~10%にみられる重篤な合併症です。自覚症状は動悸、労作時息切れ、胸骨後部痛です。その他の重大な合併症として無菌性髄膜炎と三叉神経障害が知られています。解熱鎮痛薬を使用すると、無菌性髄膜炎を誘発することがありますので注意が必要です。薬物療法が基本となります。レイノー症状では末梢循環改善薬など、症状に応じた治療法を併用します。

掌蹠嚢胞症

掌蹠膿疱症はウミが溜まった膿疱と呼ばれる皮疹が手のひら(手掌)や足の裏(足蹠)に数多くみられる病気で、周期的に良くなったり、悪くなったりを繰り返します。皮疹は小さな水疱が生じ、膿疱に変化します。角層がはげ落ちます。出始めに、かゆくなります。また、胸鎖肋関節症になることがあります。
積極的に検査して、治療すれば掌蹠膿疱症も治癒が期待できます。原因を突き止めることができず、対症療法を受けることになります。ほとんどの症例が自然に治ってしまうことがわかっています。治るまでの期間は平均で3年から7年とされています 増悪因子がみつからない場合は、対症療法を行ないます。

全身性エリテマトーデス( Systemic Lupus Erythematous SLE)

全身に症状が起きる全身性エリテマトーデスと皮膚だけに症状が出る皮膚エリテマトーデスがあります。男女比は1:9で、圧倒的に女性に多い病気です。すべての年齢に発症します。原因は不明です。自分の体を自分の免疫が攻撃してしまう、自己免疫反応によりさまざまな炎症が起こります。発症や悪化の誘因は紫外線曝露、寒冷刺激、感染症、外傷、手術、妊娠・出産、薬剤、ストレスがあります。診断はいくつかの症状と血液、尿検査の組み合わせから総合的に判断します。遺伝病ではありませんが、病気になりやすい体質素因は家族内で引きつがれます。 全身症状として発熱、全身倦怠感、関節痛を起こします。関節症状は手指が痛むことが多く、肘、膝などの大きな関節に移動性の関節炎が見られることもあります。皮膚症状の最も特徴的なのは、両頬の赤い発疹で、蝶が羽を広げている形に似ているので、蝶型紅斑と呼ばれています丸く表面にかさかさする鱗屑を伴う円板状の紅斑も、この病気に特徴的で、顔面、耳、首のまわりなどに好発します。この発疹は皮膚症状だけのことが多くあります。日光過敏症はこの病気でよく見られ、発症のきっかけになります。寒冷刺激によっても手指が白く冷たくなるレイノー現象や凍瘡(しもやけ)様紅斑が出現します。口腔内特に上口蓋の発赤とびらん、びまん性脱毛(前頭部から頭頂部に毛髪が疎)になります。内臓の臓器では腎炎がもっとも多くみられますが、肺、心臓、消化管、脳など多くの臓器に症状が出ることが知られています。治療 免疫を抑える作用のある薬を処方します。

皮膚筋炎

主に皮膚と筋肉に炎症が起きる病気です。皮膚症状が無い場合は多発性筋炎と呼ばれます 両者は同一疾患です。男女比は1:2.6です。好発年齢は小児期(5~14歳)と成人期(35~64歳)にピークを持つ2峰性分布を示します。原因は不明ですが、免疫異常、ウイルスなどの感染、悪性腫瘍、薬剤の影響、遺伝的素因が考えられています。成人の皮膚筋炎では30%位の方に胃がんや肺がんなどの内臓悪性腫瘍を合併します。上眼瞼部の紫紅色の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)、手指関節背面の盛り上がった紫紅色の丘疹(ゴットロン丘疹・徴候)、手指の爪の周囲の紅斑(爪囲紅斑)、背部や上腕の褐色や白色と血管拡張と皮膚の萎縮(多形皮膚萎縮)が特徴的です。前頚部~上胸部、肩・上背部にも紫赤色の紅斑が見られることもあります。機械工の手指に出来る職業性変化に似た症状(メカニックスハンド)も知られています。この病気では「筋症状のない皮膚筋炎」という病型がありますので、皮膚症状の診断がとても大切です。筋炎は頸部、上腕、大腿など体幹に近い筋肉におきやすいため、しゃがみ立ちが困難、風呂の出入りがつらい、階段が昇りにくい、頭を枕から持ち上げられない、などの症状がみられます。嚥下筋や構語筋の障害があると嚥下障害や鼻声を伴うこともあります。間質性肺炎は30-40%の患者さんに合併し、咳や息切れ、呼吸困難などの症状を認めます。まれですが心臓では心筋炎のため、不整脈や心不全を起こすこともあります。皮膚症状だけの皮膚筋炎やARS症候群といって肺線維症と筋炎症状が主体の病型もあり、皮膚症状が診断に重要な病気です。急性期には安静にし、筋肉にできるだけ負担をかけないようにします。ステロイド薬が有効で、筋症状が強い場合、治療を1ヶ月程度行い、筋力の回復、検査の値を見ながらゆっくりと減量します。必要に応じて免疫抑制薬が使用されます。

痛みのないもの皮膚症状やその他の症状もあります。